ワタシも大好き!
吉野家が24時間牛丼を販売するニュースに喜びを隠せない。
仕事の事を考えると「上手くやってるな」と言う気持ちもある。
吉野家大好き!「特盛・汁ダク」が大好き!
そんなワタシには朗報である。
牛丼チェーンの吉野家が、牛丼の24時間販売を夏にも再開する方針を固めたことが12日、分かった。米国産牛肉の輸入禁止を受けて平成16年2月に販売を中止して以来、約4年ぶりに全国の店舗で全面再開する。(産経新聞)
吉野家の歴史を辿れば(参考資料:Wikipedia)
明治32年 東京・日本橋で創業
昭和27年 24時間営業を開始
昭和33年 株式会社吉野家設立
昭和55年 会社更生法の適用を申請・100億円の負債を抱え事実上倒産
昭和58年 セゾングループ傘下で再建開始
昭和62年 更生計画終結・更生債務100億円完済
昭和63年 セゾングループの株式会社ディー・アンド・シーと合併
平成 2年 株式を店頭登録
平成12年 東証一部へ上場
「奇跡の復活」を遂げた素晴らしい企業でもある。
平成13年に「ファーストフードを取り巻く激安戦争」に勝ち残る為に「牛丼並盛一杯280円」を提供した。
消費者は喜ぶであろうが、提供する側は「死んだつもり」の提供であったろう。
ワタシの生業上の立場として言える事はこうである。
幾らコストダウンをしても「利益」を考えると・・・
食堂の平均粗利益率(売上から材料を引いた金額の売上比率)は約40%
280円のモノを提供するとしたら168円の材料で賄わなくてはならない。
しかし現物を見ると、明らかに200円近い!
その頃、冷凍食品で「吉野家の牛丼」って具が250円で販売して居た事を考えると・・・
冷凍食品の原価率が「概ね75%」
それを加味して計算すると、原価は「250×75%=187.5円」になる。
つまりこの当時、牛丼一杯280円で売って92.5円の儲け。
しかし、粗利益に換算すると33%であり「7%の損失」を余儀無くされていたのである。
つまり「320円で売って132円儲けなくてはならないもの」が「40円の粗利減少」となったのである。
さぞかし大変であったろう。
それまでは400円だった訳だから・・・・
400円(並盛単価)-187.5円(概ねの原価)=212.5円・・・値下げ前の利益
↓
280円(並盛単価)-187.5円(概ねの原価)=92.5円・・・値下げ後の利益
一店舗あたり一日500人が280円の牛丼を食べに来る事を考えてみて欲しい。
500人×(212.5円-92.5円)=60,000円 一ヶ月にすれば約1,800,000円
これだけの減収を余儀無くされた事を考えると、まさに他人事ではない。
200,000円の給料をもらう人員を9人削減しなくてはならないのである。
しかし・・・
平成16年、吉野家に「追風」が吹いた。ご存知「アメリカ産牛肉の輸入禁止」である。
確かに「メイン商品の販売中止」は大英断だったと思う。
世間には「在庫がなくなったため」と報道された。
ワタシの見方は「競争に疲れた」部分があると考えた。
数字に現すとよくわかって頂けると思う。
激安競争は「二度目の倒産劇を作りそうになった」のである
この時思った。
一度駄目になったがゆえに「繰り返すまい」との想いがあったのだろう。
そして「激安戦争の狂乱」に歯止めをかけようと思ったのであろう。
このまま行けば「総倒れ」になってしまいそうな業界に警鐘を鳴らしたのだろう。
それは「老舗としての誇り」もあったのかも知れない。
これをご覧の皆様に聞いて頂きたい。
ワタシは「ファートフード店」として「企業」として吉野家のファンである。
平成16年2月10日の「最後の一杯」を是非とも心に残して欲しい。
「企業だから必ず復活するよ」「また食べられるよ」
そんな安易な消費者論は捨てて欲しい。
企業は「倒産」と背中合わせに生き続けている。
どんなでかい会社でも「突然の倒産」はある。
最近の倒産の原因に「激安戦争敗北」が多くある。
それゆえに・・・
消費者は過激な要望をしてはならない。
今回、段階を追って「経営戦略」を実行した吉野家には拍手を贈りたい。
現在の発展途上企業(ワタシは中小企業をこう呼ぶ)も是非真似して頂きたい。
最後に大きな声で叫びたい!
吉野家の「並盛380円」は決して高くない!
もう一度「最後の一杯」が報道される時・・・・・
それは「二度と吉野家の牛丼が食べられなくなる時」
[2回]
PR