東名のタイヤ脱落事故はただの認識不足か？

「定期点検の存在を知らなかった」

そんな言い訳だけ当初のニュースに表現されていた本件。
もっと考え、もっと追求すべき事があるのではないかと感じる。

東名のタイヤ脱落事故、パンクと過積載でボルトが損壊？
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080414-00000054-yom-soci
(4月15日3時5分配信 読売新聞)


この記事にはこうある。

トラックは最大積載量（１１トン）の約１・５倍の荷物を積んでいたことも判明。


それでは「当たり前に起こった事故」ではないか？

幾ら始業点検をやっていても、定期点検をやっていても事故は防げない。
トラックに悲鳴を上げさせて起こった事故なのだ。

会社が積載量をチェックしていなかったことを明らかにし
「運転手が荷物の積み込みをしていた。」
「過積載はなかったと信じているが、絶対ないとは言い切れない」と述べた。
(毎日新聞　2008年4月13日　東京朝刊)

これも言い訳に過ぎないと思う。

逆に、産業廃棄物処理業者に対して、警鐘を鳴らした事件かと考えた。



確かに産業廃棄物処理業界を取り巻く厳しさは理解出来る。

11ｔトラックの運搬と言う事は、積荷は建築資材関連であったと仮定するから。
「坪幾ら」で建築廃材等を処理する産業廃棄物処理業者。
何度もトラックを往復させれば、それだけコストがかかる。
ゆえに、コストをかけない為に「より多く」の積荷をする。


しかも、問題はそれだけでは無い。

産業廃棄物処理に関してはテリトリーが存在する事を聞いた事がある。

例えば「福島で発生した産業廃棄物処理は福島で」が原則であるとの話である。

以前、福島に本社を置く会社から「会津事業所の建物内装解体」の話を受けた。
親交の深かった産業廃棄物処理業者さんに即時喜んで打診した。
しかし「有難いけど、会津の業者を依頼してくれ。」の答。
何故を問うと、前述のテリトリーの問題を答えてくれた。

まさかと思うが・・・・・

この業者は「指定地域以外での産業廃棄物処理」を行ったのか？

それでなければ高速道路の使用は無かったかも知れない。

確かに現在、建築・建設業界が低迷の道へと歩んでいる。
解体等の仕事は減少するだけではなく「単価の減少」も招いている。
各ハウスメーカーが「坪単価を安く」となれば、付帯経費も。
付帯経費とは「建替えの際の解体費用」も含まれる。
だから、本件が起きた可能性も考えられる。


しかし今回は「殺人事件」に及んだ。何の言い訳も通じない。


前述の「テリトリー」を教えてくれた業者さんは、実はこう言っていた。

テリトリーを犯す事は簡単だ。

大型車で、誰にも見られないようにさっさと運べば済む事。

でも、見つかれば大きなリスクを背負う。

単価を下げる為に、それなりの処理場へ持って行けば良い。

マニフェストなんて、何とかなる。

ただ「途中の事故」が一番怖い。

それを考えれば、本件の業者も同じ事を考えたのかも知れない。


しかし、結果は最悪に及んだ。

企業は「利益」を目的に事業を行う。

それゆえに「利益」が出なければ「経費削減」を行う。

「経費削減」は「不具合」が出ないように行う事が原則。

安全性の欠如で「利益」を捻出しても「損失」に変換する。

だから「不具合無し」の「利益」を捻出するのが原則。

まあ・・・机上の論理からすれば、こんな話になってしまう。
確かに現実として綺麗事は言っては居られない「業者の哀しみ」はある。

この業者もまた「消費者のニーズ」に負けてしまったのか？

先日、デニーズの撤退に関して書かせて頂いた。
「これも同じにおいがする」と感じるのはワタシだけであろうか？
「安くするのは当たり前」の歪がここに出ていないか？

確かに産業廃棄物処理業者は儲かった時期があった。
解体・回収するだけでそれなりに儲かった。
分別作業をして「鉄関連」を売れば更に儲かった。

しかし「儲けの構造」ばかり追い過ぎるきらいもある。
それも本件に及んだひとつの理由とも考える。


「あってしかるべき最低の経費」

「あってしかるべき最低のモラル」

「あってしかるべき最低基準の遵守」

本件はそれをつくづく考えさせられる。