政府自ら物価値上を示唆？最低賃金の引き上げ

サラリーマンの皆様には「喜ばしい話」であるが全体像を考えれば逆。

物価上昇を招く要因と言う事を世間ではどれだけ認識して居るのだろう。

更に「数字のマジック負担増」がある事を、さりげなく書いてみたいと思う。


＜最低賃金＞７５５円に引き上げ提案へ　政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080619-00000010-mai-pol
(6月19日2時30分配信 毎日新聞)


団塊の世代が「退職年齢」となり「より良い人材確保」が求められている現在。

「賃金の魅力が無ければ人材は来ません」とのアピールを醸し出しているのだろう。

まあ、指示するのが「優秀な官僚の方々」だから仕方無いだろう。

更に「優秀な人材コンサルタント」がそれを支援するから始末に追えない。

美味しい「高賃金」と言う餌を食わせなければ人材が集まらない？

それだけ企業に魅力が無くなった証拠とは誰も言わない。

全く「優秀な人材コンサルタント」って方々は何をやって居るのだろう。

現場に立たない「綺麗なお仕事」をしている方は、これだから困る。


それは政府も同じ事。

「夢の無くなった日本」に光を灯そうとする努力は買う。

しかし、何時も方向性が異なる事ばかりを行う。

「低所得者の救済」なんてお題目ばかりを並べるが、所詮綺麗事。

経済の論理の「ひとかけら」すら理解して居ない証拠にもなる。


いや・・・・・　確信犯かも知れない。

世の中に「甘い蜜」だけを一方的に与える。

それを「自分だけ良ければ良い」方々が受け留める。

まあ「考えなくなった人種の増大」は世の中の流れだ。仕方あるまい。

「前習い」「隣の芝生が青く見える」方が多くなったのだから仕方無い。

しかし、これを機に是非考えて頂きたいと思う。切に思う。


最低賃金の引き上げってのは、何が付随するのか判っているのだろうか？

世間の方々もようやく認知して来た「物価上昇」が発生する。

しかし、今回はそれだけではないと思う。

「所得税の増税」「社会保険料の増額徴収」

この二つを目論んでの最低賃金引き上げと考えてしまうのだ。


あまりピンと来ないと思うので、また数字に置き換えてみる。

賃金68円の値上げ・一日8時間労働・月間労働日数22日で計算する。

68円×8時間×22日＝11,968円

まあ、これだけなら「一万円上がる！やった！」ってな事になる。

しかし「実質支給額」を計算すれば、そんな事は言って居られない。

尚、計算方法は40歳未満・扶養家族無しで計算する

【現行例】
支給額：687円×8時間×22日＝120,912円
徴収額：（源泉税）1,710円＋（社保）13,685円＋（雇保）725円＝16,120円
差引手取り額：104,792円

これが、このようになる。

【増額例】
支給額：755円×8時間×22日＝132,880円
徴収額：（源泉税）2,310円＋（社保）15,541円＋（雇保）797円＝18,648円
差引手取り額：114,232円

（引上後）114,232円－（引上前）104,792円＝9,440円

まあ、ここまで書けばお判り頂けるだろう。

「数字のマジック」で無碍に税金や社会保険料を徴収されるだけなのだ。

だから「低所得者救済」なんて言葉が「綺麗事」になるだけなのだ。


更に考えられる事は「パートタイマーの仕事が規制される」事である。

扶養家族になって居る方々が68円分「時間調整」を余儀無くされるのだ。

時給に関係なく働いて居た方には、ある意味迷惑な話でもある。

その上「値上げ」のツケを払わされた時には、嘆くにも嘆き切れない。


ならば、政府の方向性はどうすれば良いのか？

それは単純に「扶養家族対象収入枠」を拡大すれば良いのである。

現行で規制ある「103万円以内の収入で扶養家族とする」

その枠を「120万円以内」とすれば良いだけなのである。

そうすれば、連動して「基礎控除の拡大」につながる。

現行の「38万円」が「55万円」になるのである。

税金にすれば、一人当たり住民税を含め2万円以上の減税になるのだ。

そうすれば、沢山の方々が減税の対象にあやかれるのだ。

そこからはじめて「消費税の増税」を唱えるのが筋ってモノである。


いずれにせよ、最近政府が唱える案は、余りにも稚拙この上無い。

更にそれに乗っかる「優秀なコンサルタント」の存在も見逃せない。

まあ、多くの日本人は「賃金増大バンザイ」になると思う。

しかし、それが政府の妙な策略だと知るまでどれだけの時間がかかるか？

「たった時給68円増」で「見返り負担額100円」を強要されるかも知れないのだ。


さて・・・日本の優秀な企業はどう対応するかが見モノである。

無論、ワタシの顧問先には「無碍な時給増額」を行わせない。